■平成28年度事業計画
Ⅰ 基本方針
京都産学公連携機構は平成15年2月の設立以来、オール京都の産学公連携のプラットフォームとして、各関係団体と連携し、各種の研究開発プロジェクトや社文系の産学連携、各機関の人的交流等を通じて、中小・ベンチャーの育成や京都産業の振興に取り組んできた。
更に、機構設立10年を契機にセカンドステージと位置づけ、平成25年7月29日の「イノベーションの都」推進宣言を実現する統括機関として、プラットフォームの再構築と事務局体制を強化し、「交流プラットフォームから具体的な目標を達成する連携のハブ」として、産学公連携の取組を一層強化してきた。
この間、地域イノベーション戦略支援プログラムや京都次世代ものづくり雇用創出プロジェクト、革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)、の採択や大学連携試作技術開発拠点、けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)の整備など、京都の産学公連携の取組は大きく前進した。
セカンドステージ4年目を迎える本年度は、これまでの取組の充実と産業構造や社会の変革等の新たな課題に対応できるよう、京都の強みである特色ある大学・研究機関や企業、金融機関の集積、多様な支援機関のネットワークを一層強化し、次々とイノベーションを誘発する「京都イノベーションベルト構想」の推進を通じて、地域経済の活性化に貢献する。
そのため、府内の大学や支援機関はもとより、更に府外の地域や関係機関との連携強化を図る。
また、フォーラム、セミナーやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用し、情報発信・交流機能を充実するとともに、産学連携相談窓口の開設や研究開発プロジェクトの創出等を通じた中小・ベンチャー企業の育成に取り組んでいく。
Ⅱ 重点取組
- 機構のネットワークを活用した産学連携相談機能の充実・強化
- 府内外の関係機関(大学、企業、国、支援機関、金融機関等)や地域との関係強化
- 国家戦略特区制度や競争的資金も活用した産学連携プロジェクトの形成
- 大学や大企業が有する知的資源を活用した産業化の促進
- 大学の知見や研究成果を活用した中小・ベンチャー企業の成長支援
Ⅲ 事業計画
1 京都イノベーションベルト構想の具体化・推進
京都イノベーションベルト構想の進展を図るため、連携プロジェクトの形成やそのための情報発信を行う。
(1)京都イノベーションベルト推進フォーラムの開催
京都イノベーションベルト地域の魅力やポテンシャル、立地する関係機関の取組等を発信し、本構想の進展を図る。
(2)産学、産産連携プロジェクト形成の促進
京都経済の発展と企業の成長に資するため、産学、産産連携プロジェクトの形成促進に役立つ事業を実施する。
①知的財産の活用による産業化の促進
(ア)大学特許を活用した商品認定制度
大学特許を活用して実用化された商品に認定ロゴを付与し、広く周知することにより、大学特許の可視化及び事業化、並びに大学の社会貢献をより一層促進するとともに、更なる産学連携の推進を図る。
(イ)大企業の開放特許の活用
大企業の開放特許を中小企業が活用する際の出口戦略の部分について、社会・文科系の大学が中小企業と協働しながら、事業化するプロジェクトを展開する。
②ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用
昨年度新たに立ち上げたSNSやメールマガジンを活用し、効果的な情報交流を進め、大学や支援機関の連携を促進し、プロジェクト形成を図る。
2 産業界・行政と大学との連携強化を通じた地域経済の活性化
産業の高度化、多様化、サービス化が進む中、大学の知見や研究成果を活用した産学連携を促進し、新事業や新産業の創出を図る。
(1)文理融合や社会・文科系分野の産学公連携の強化
「文理融合・文系産学連携促進事業」を実施する。
ア 目的
文理融合・文系分野において、産学公連携により研究を促進するグループに助成金を交付することにより、新事業・新産業の創出につながる研究活動を支援し、研究開発プロジェクトの形成や事業化へのステップアップを図る。
イ 内容
1件につき50~100万円程度
ウ 対象
中小企業等における新事業・新産業の創出につながる産学連携による調査・研究に取り組む研究グループのうち、次の要件を満たすもの。
- 新たに発足する研究グループ(ただし、交付決定後1ヶ月以内に発足するものに限る。)、又は継続的な研究グループであっても、新たな事業展開に取り組む研究内容であること。
- 京都府内が研究活動の拠点であること。
- 京都産学公連携機構の構成団体の教員・研究者等と京都府内に本社等を置く、中小企業1社以上が参加すること。
エ 募集期間
6月10日~7月7日の期間で公募
オ 審査
総会終了後、書面審査及びヒアリング審査を実施し、採択事業を決定
カ その他
京都における文理融合・文系分野の産学公連携の取組を広く周知するため、平成29年1月頃に平成27年度採択事業の研究成果発表会を開催予定。
(2)京都産学公連携フォーラムの開催
大学の研究成果と企業の事業化ニーズのマッチングを目的にフォーラムを開催。実施に当たっては京都工業会とも連携し調整を進める。
(3)成長分野での産業化ネットワークの形成
iPS細胞やIoTなど京都が持つ知の強みが活かせ、成長市場として産業化が期待される分野をテーマに、関係機関と連携し、府内外の企業や大学・研究機関が参画するネットワークを形成する。
(4)生命科学分野の産学連携プラットフォーム構築への取り組み
国内の生命科学分野の発見を世界の医学課題を解決する製品へ成長させるベンチャーを育成するプラットフォームを、京都大学や京都リサーチパーク(株)をはじめ関係機関と連携し、京都に構築する取り組みを進める。
そのための第一歩として、生命科学分野の産学連携で世界をリードするスタンフォード大学医学部の副部長、世界的製薬企業の研究所長、アメリカを代表するバイオベンチャー育成拠点の代表などを招き、「Healthcare Venture Conference KYOTO(略称:HVC KYOTO)」のプレカンファレンスを開催する。
3 人的ネットワーク・人材育成の強化
(1)大学リエゾン協議会の運営
京都地域の大学の産学連携推進を担うリエゾン機能の充実と連携強化を図るため協議会を運営する。
ア 対象
本機構に加盟する大学のリエゾン事務局、産学連携担当職員、支援コーディネータ等
イ 開催回数
年4回程度
ウ テーマ
各大学の取組の紹介、連携プロジェクトの形成 他
(2)産学公連携コーディネータ交流会の運営
産学連携や産産連携推進を担う京都地域の大学や支援機関等のコーディネータの情報交換やスキルアップ、連携事業の形成を目的に、交流会を運営する。
ア 対象
本機構に加盟する大学や支援機関のコーディネータ (登録者数 131名 6月29日現在)
イ 開催回数
年4回程度
ウ テーマ
コーディネータの活動、各機関の取組、コーディネート活動に資する先進事例の紹介 等
4 中小企業・ベンチャーの育成
(1)スーパーコーディネータを中心としたプロジェクト創出・事業化支援
理系、文系を問わず特色ある大学が集積を有する京都の強みを活かし、関係機関と連携し、国や関係機関が行う産学連携プロジェクトへのチャレンジや競争的資金の獲得等を通じて、京都の中小・ベンチャーのビジネスチャンスの拡大を図る。
(2)未来技術交流会の開催
京都産業への波及や京都企業の強みを活かした事業化が期待される産業分野での国内外の最新の技術や市場の動向に関する情報提供や研究者との意見交換の場として交流会を開催する。
(3)産学連携相談窓口の拡充
京都地域の大学リエゾンや支援機関が参画する本機構の機能を活かし、京都企業の研究開発や事業化を支援するため、産学連携相談窓口を拡充する。
5 その他
(1)地方創生等の取組と連携した経済活動の推進
文化庁の京都移転をはじめ、国等の地方創生の動きと連携し、京都経済の発展及び活力ある地域づくりに取り組む。
(2)国家戦略特区における産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の推進
行政や支援機関と連携し、ライフサイエンス分野における研究成果の実用化を促進するなど、京都地域の国家戦略特区制度を活用し、京都産業の国際競争力を強化する。